「あ、あのね」 俺は菅原の方を向いた。 「どうした?」 「ネコさん」 辺りを見渡した。 ネコなんて一匹もいなかった。 むしろ犬がいた。 柴犬がいた。 五匹いた。 柴犬いすぎだろ。 まさかアレをネコって言ってるわけじゃないよな? 菅原だもんな。 「……ウサギさん?なんで柴犬睨んでるの?」 いや、菅原はちゃんと柴犬と言った。 どうやら心配する必要はなかったらしい。 「ネコがなに?」 「あの、ネコさんの所に行きたいの」