新曲を作る度に、まずは愛海に聴いてもらっていた。


「それとも、もう歌えない?」

「歌うよ」


本来新曲になる予定だったあの曲。

完成する前に転校して、ひっそり、昨日完成させた。

自分の自己満足で。


「みちしるべ」

「え?新曲?」

「完成する前に辞めたから」


静かな前奏からはじまる。

静かな曲。


歌い始めると、その世界に浸ってしまう癖。


心地いい。