「俺は多くの人が知る歌手でした。……そのことが友達にバレて、歌手を辞めて転校して来ました。もう、梅亜のことはトラウマなんだ……」 梅亜と俺は確かに同一人物だけど、別々に考えて欲しかった。 俺=梅亜だから、梅亜と話をしている。 梅亜と友達だ。 梅亜と同じクラスだ。 要が梅亜に書き替えられる。 そんなことが嫌だった。 要が消えていくのが、嫌だった。 梅亜は歌ってる時だけだ。 そうしてたった五年の歌手生活は、幕を降ろした。