「あの時ね、丁度近くにいた安西(あんざい)くんが『あの人ウサギさんて呼ばれているんですよ』って教えてくれたの」

「……へぇ」



あの同じクラスのニコ男、安西っつーのか。

よし、今度シメる。

俺からは冷たさを含んだ声が出た。



「なんで宇崎だからってウサギになるんだか。そんな可愛いもんじゃねーだろどう考えても」

「可愛いから私もウサギさんて呼ぶね」



さらりと、可愛いからと、決定された。

は!?


「いや、ちょ、まて……」

「私は、Q(クイーン)様……か、それが嫌なら涼歌様でもいいから」



え、は?

さま?

結局様付け?

てか俺はウサギ決定なわけ!?



「おい、だからウサギは――」

「あ、でも様付けは校内にいる時の話でね。外に出たら好きに呼んでいいの」

「勘弁……って、なに、校内だけ?どういうことだ?」



完全に話をスルーされていることは一時置いといて、俺はそう聞き返した。

そして菅原鈴歌は少し寂しそうに答える。