この胸いっぱいの愛を。




あの時の私は、まだ幼かったから……


将兄が雑誌に載るって決まった時は、正直複雑だったなぁ。

嬉しかったけど、その反面寂しくもあった。

将兄がどこか遠くに行っちゃうような、そんな気もした。


でも……………






────神田さんの大ファンなんです!




────雑誌で見た時から、ずっと憧れてたんです!




あぁいう風に言ってくれる人がいるのは、雑誌のおかげで。

そう考えると、雑誌に載るのも悪くないって、今なら思えるかも。




「俺、雑誌で神田さんの記事読んだ時、凄いなって思ったんです。
 自分と二つしか歳が変わらないのに、ちゃんと夢を持ってて、それを実現するために必死で努力してる。
 その時の俺はまだ将来のこととか何も考えてなくて、今が楽しければ良いやって、思ってた。
 だから、夢に向かって突き進んでる神田さんが、凄く輝いて見えたし……
 夢中になれるものを持ってるのが、羨ましくて仕方なかった。
 それで、神田さんのこともっと知りたくて……同じ土俵に立てば、何か見えてくるかもしれないし。
 その雑誌を買った後、気付いたらスポーツ用品店で、ラケットとボール握ってたんです」




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