……何て言うんだっけ、こーゆーの。
確か、す、す………
「「スクラップブック!」」
アユと健吾が同時に叫ぶ。
その声に驚いた他の客が、一斉にこっちを見た。
店中の視線が、私達に集まる。
「……とりあえず、座りなよ」
「そ、そうだな」
「……お邪魔します」
速見くんと健吾は、周りを気にしながらそっと席に着いた。
「てか、すげーなお前!
こんなに集めたのかよ!」
健吾はスクラップブックを受け取り、パラパラとページをめくった。
将兄のインタビュー記事や試合時の写真などが、丁寧に切り取って貼ってある。
……これは、確かに凄い。
私も将兄が出てる雑誌は集めてるけど、こんなにちゃんと保存してるわけじゃないし。
にしても将兄って、今までこんなにたくさん取り上げられてたんだなぁ。
最初にオファーが来たのは、確か小学三年の時。
初めて参加した大会で、前年のチャンピオンを破って一位になった時だ。
しかもその前年のチャンピオンってのが、将兄より三つも年上で。
試合を一部始終見てたテニス雑誌の記者たちが、「100年に一人の逸材だ」とか言って、騒いでたっけ。
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