「あ、健吾じゃん!」


振り向くと、そこには健吾と……

見知らぬ人物が立っていた。


「えっと……彼、は?」

“彼”で、良いんだよね?




一瞬、男の子か女の子か、わからなかった。

あまりにも綺麗……

いや、綺麗というよりも、可愛い顔をしているから。


でも、制服は学ランだし、男の子のはず。

これで女の子だったらかなり失礼だよ、私。




「あぁ、コイツは俺のダチ」

健吾はそう紹介して、親指で彼を指差す。


「ど、どーも、速見猛(ハヤミ タケル)です」

緊張してるのか、吃りながらペコリとおじぎをする速見くん。

あまりの礼儀正しさに、私とアユも思わず立ち上がって頭を下げた。


「小学校の同級生なんだ。
 こいつも俺と同じテニス部」

「そーなんだ」


私が相槌を打つと、彼は恥ずかしそうに頷いた。

見た目通り、シャイなんだなぁ。




彼─────速見くんは、私より背が低い。

150センチくらいじゃないかな。

私は約155センチだから、5センチも違う。

そんな体格だから、学ランも着ているというより、着られている感じだ。


「……………ん?」

彼のダボダボの学ランをなんとなく眺めていると、あることに気付いた。


ボタンの色が黒い。

普通学ランは金ボタンだから、かなり珍しいと思う。


もしかして速見くんの所属してるテニス部って………






「……部長、朝比奈くん?」




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