この胸いっぱいの愛を。




「おっはよー!!」

これ以上ないくらいの笑顔でクラスメート一人一人に挨拶をしている。


「「おはよー健吾」」

私とアユが口を揃えて言うと、健吾も嬉しそうに挨拶を返してきた。


「何の話してたの?
 俺も混ぜろよ♪」

自分の席にカバンを置いた健吾が、私たちのところにやって来た。


「モモはお兄さんと仲良しだよねーって話してたところ♪」

「ち、ちょっとアユ!?」

そんなサラッと言わないでよ!


「あー、確かに。
 だって部長、お前と話してる時だけなんか雰囲気違うもん!」


え………そうなの?

私はそんなこと全然……


「まぁ、神田は気付いてないだろうけど」

「うっ」

図星をさされて、私は何も言い返せなかった。

将兄が私といる時だけ雰囲気違うって、本当なのかな?


脳裏に浮かんだのは、将兄の笑顔。

そして、あの時の泣き顔。




あの日から、もう一週間以上経った。


将兄が何も言わずに学校に行っちゃった時は、口には出さなかったけど凄くショックだった。

あの日は部活の後も先に帰っちゃったし……

将兄に嫌われたのかもって思って、いてもたってもいられなかった。




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