この胸いっぱいの愛を。




「そんな堅いこと言ってる割には……
 ヤバい、また笑いの波が!」

必死で笑いを堪える兄さん。

なんなんだ、さっきから。


「割には………何だ」

次の言葉によっては、ぶっ飛ばしてやろう。

そう、思ったのだが───……






「いや、将って、いっつも堅いことばっか言ってるけど……やっぱり中学生だなぁって」

「は?」

無意識に、素っ頓狂な声が出てしまった。


俺が中学生であることは、今始まったことではないというのに。

今更言うことでもなかろう。









「だってさ、まさかお前から“バカって言った奴がバカだ”なんて幼稚な台詞が聞けるとは思わなかったから……ププッ」

「なっ///////」

「小学校低学年レベルだろ、それ」

「〜〜〜〜〜〜〜っ」


俺は今さっきの失言を後悔した。

まさかこんなに笑われるとは……。


確かに中学生にもなって言う言葉ではないかもしれないが、そんなに笑うことじゃないだろう!


「知らん!勝手にしろ!」

俺は耳まで真っ赤になっているであろう顔を兄さんから背けて、部屋へ急いだ。




──────こんなに赤くなった顔を、桃香に見られたくないから。


…………ところが。




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