先輩がそんなことを言うから、歩きながら飲んでいたスポーツドリンクを吹き出しそうになった。

それを慌てて飲み込んで、反論しようとした、のだが………




「まままま、守ってあげたい、なんて、す、好きな人以外に言うセリフじゃないです!」


えぇえ─────!!!?

何吃ってんの、私!?

なんでこんなに動揺してんの!?

「ま」って五回も言っちゃったよ!!


「あれぇ?
 顔が真っ赤だぞ、神田桃香♪」

「っ、からかわないでください!」


─────どうしよう、私。

絶対耳まで真っ赤になってる。




「からかってないよ。
 ホントに、そう思ったんだ」


先輩はひとしきり笑った後、優しい声でそう言いながら、私の頭に手を置いた。


「!!」

この、温かい手の感じ。

将兄に、似てる────……




「二人して、悲しそうな顔しちゃってさっ。
 早いとこ、仲直りしとけよ?」

「……………」

「返事は?」

「………はい」


呟きとも言えないくらい小さな声だったけど、先輩は満足気に笑って、私の頭を撫でた。




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