「あ…こ、こんにちは!」
「おー、神田桃香じゃん!!
ちぃーっす!」
う"ー、なんでこの人はいっつもこんなにハイテンションなの!?
しかも何故にフルネーム!?
「なになに、何かあったのっ?
顔、めっちゃ引きつってるぜ?」
…………アンタのせいだよ。
何て、先輩相手に言えるワケもなく。
「そ、そうですか?
気のせいですよ…アハハ…」
と、適当に誤魔化しておいた。
─────駿河真(スルガ マコト)先輩。
二年生で、テニス部に所属している。
テニスの腕は、将兄が一目置くほど凄い。
二年の中では、ダントツで上手いと思う。
なにしろ彼、二年生唯一のレギュラーだしね。
入学当時のことはよく知らないけど、その頃からずば抜けて上手かったんだろうなぁ。
「んー、今日は良い天気だな!
お前もそう思うだろ?神田桃香っ」
「そうですね。
日射しが気持ち良いです」
私達は二人で空を見上げた。
今、屋上には私と駿河先輩しかいない。
「ヤッホ─────!!!」
「えぇえ!?」
突然何を!?
「あ、わりぃ、ビックリした?」
「はい……ちょっとだけ」
本当は“かなり”だけど。
「でもさ、叫ぶのって気持ち良いじゃん!
俺、好きなんだよねー」
フェンスに寄り掛かって、満面の笑みを浮かべる駿河先輩。
その笑顔は、まるで汚れを知らない子供のようで………
とても、年上とは思えない。
.