信じられなくて、最初は夢かと思ったくらい。

でも、それは紛れもなく現実で………









───見るつもりじゃ、なかった。

なんで、あんなタイミングで起きちゃったんだろう。

将兄は、私が見てたなんて気付いてない。

私、ずっと寝たフリしてたから。




あの後、、将兄は寝たフリをしている私を部屋に運んで、ベッドに寝かせてくれた。

将兄が部屋を出ていった後も、私はずっと考えてた。


将兄が、泣いてたワケを。


試合で負けた?

いや、そんなの有り得ない。

将兄が負けなしなのは、かなり有名だし。


じゃあ、腕を痛めてもうテニスができないとか!?

……それもない、か。

将兄は動きが鈍るどころが、どんどん上手く──強く、なる一方だし。


もしや、祐兄と喧嘩した!?

………有り得ない。

喧嘩で泣くような人じゃないし。




───色々考えてはみたものの、答えからどんどん遠ざかってるような気がして……

結局、私は考えるのを断念した。




それでも、昨日の夜は一睡もすることができずに、モヤモヤした気持ちのまま、朝を迎えた。

将兄の泣いてる時の顔が、頭から離れなかったんだ。




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