この胸いっぱいの愛を。




名前を呼ばれて、思わず立ち上がって敬礼。


「自分がモテるんだってこと、自覚しなきゃダメだからね!
 それから、変な男に騙されないこと!」

「は…はぃ?」


……そんなこと、意気込んで言われても。


「変な男って、もしかして俺も含まれてたりすんの?」

「当たり前でしょ!」

「ひでぇ!!」

私はボンヤリと二人のやりとりを眺めていた。




「まぁ、あんたにはあの怖いって噂のお兄さんがついてるから、心配いらないか」

「だな!部長がいる限り、さすがの俺も手ぇ出せねーし(笑)」

「さすがのってあんた何様!?
あんたのことは、私も監視してるからね!!」

「いでっ!ジョークだよ、ジョーク!」




二人の言い合う声が、段々遠退いていく。




将兄、今何してるかな。


今日、どうして先に行っちゃったんだろう。

今まで、そんなことなかったのに。


昨日、勉強教えてって言っておきながら寝ちゃったから、怒ったのかな。

でも、将兄はそんなことで怒るような人じゃないよね。


じゃあ、やっぱり昨日の“アレ”と関係してるとしか思えない。






────私、昨日見ちゃったんだ………




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