「………それ、いつの話?」
「ん?モモがトイレ行ってる時」
アユはそう言って、デザートのイチゴに手を伸ばした。
健吾は口をポカンと開けたまま、アユを凝視している。
「マジかよ……すげぇな、藤堂」
「何が?私は思ったこと言っただけだし」
「いや…普通言えねぇだろ」
健吾が珍しく正論を言ってる。
てゆーか………
「将兄より、アユの方が怖いんじゃ…」
「確かに!!」
私が遠慮がちに言うと、健吾が再びゲラゲラと笑いだした。
「何よ、二人して私を悪者扱い?」
アユは不満そうに唇を尖らせた。
その様子を見て、健吾が慌てて訂正する。
「そーゆーわけじゃねーって!
寧ろ……」
「「尊敬?」」
“尊敬”のところで、私と健吾の声が重なった。
それを聞いて、ご満悦気味のアユ。
「尊敬、ね。とにかく、モモ!」
「はい!」
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