この胸いっぱいの愛を。




カチャーン。






……………『部長』。




その言葉に過剰反応して、私は掴んだ箸を再び落としてしまった。


テニス部員の健吾にとって、部長と言ったら将兄しかいない。




「別々に登校してんの、初めて見たかも。
もしかして……喧嘩でもした?」

「っ、そんなんじゃないよ!」

「それは有り得ないわよね!」


え!?


私はともかく、なんでアユまで!?




「だってあの人、モモのこと“溺愛”してるじゃない」

「なっ……!?////」


溺愛って………




「なんでそーなるの!?」

「なんでも何も………
 あんなにわかりやすかったら、誰にでもわかるわよ?」


アユの口から次々と飛び出す言葉に、私は驚くしかない。

わかりやすいって……張本人が全くわかってないんですけど!




「健吾、あんたも同じ部活ならわかるでしょ?」

驚きのあまり口をパクパク動かすことしかできない私を尻目に、今度は健吾に尋ねた。


健吾って、いかにも鈍そうだし……

わかるわけ、ないよね(酷)




「藤堂、やっぱお前もそう思うか!?
 良かった、俺は間違ってなかった!」


意味不明なことを言って、小踊りを始める健吾。

………“お前も”って、ことは。






「健吾もそう思ってたの!?!?」




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