「珍しいよね、モモがギリギリに登校してくるなんて」
「え、そ、そうかな?」
────その日の昼休み。
私はいつものメンバーと一緒に、教室でお弁当を食べていた。
「そうだよ!
いつもは10分前には来てるもん!」
ドンッ、と机を叩いて身を乗り出したのは、親友の藤堂あゆみ(トウドウ アユミ)。
「あっぶね!」
私の隣に座っていた健吾が、慌ててお茶のペットボトルを掴んだ。
「おい、藤堂!
零れたらどーしてくれんだ!」
どうやらアユが机を叩いた衝撃で、蓋が開いたままのペットボトルが一瞬宙に浮いたらしい。
「あんたが蓋してないからでしょ!
口にモノ入れたまま喋んないでよ!!」
謝るどころが、負けじと言い返すアユ。
この二人といるのは、楽しい。
けど─────……
「モモも何とか言ってやってよ!」
「るせぇ!
それはこっちのセリフだ!!」
………かなり、疲れる。
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