ついこの間までランドセルを背負っていた妹が、中学生になった。
セーラー服のスカートを短くして、
俺の前で無邪気に回って見せた桃香。
その姿に、俺の心臓は小さく跳ねた。
桃香が神田家にやってきたのは、
俺がまだ六歳の時。
いつも俺にくっついて離れようとしない桃香が、可愛くて仕方なかった。
月日が流れるにつれ、
想いは強くなる一方で───……
どうにもできないこの気持ちを抱えたまま、俺は中学三年に、桃香は中学一年になった。
この想いを言葉で表現する術を、
俺は未だに知らない。
でも、一つだけ確かなのは……
俺の桃香に対する想いは、
“普通じゃない”ということ。
────異常なんだ。
妹の制服姿を見て鼓動が速まるのも、
他の男に渡したくないなんて
本気で思うのも。
桃香は俺の妹で、俺は桃香の兄。
俺が抱えている気持ちは、本来持っていてはいけないものなのだ。
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