この胸いっぱいの愛を。






―――――――――え?


………なんだろう、この気持ち。




今、確かに………

胸が、痛かったような。









「おっはよー!!」


ドンッ!!!


「っ!?!?」


突然、誰かに背中を押され。

胸の痛みは、消し飛んでしまった。


………まるで、元から無かったかのように。




「ちょっと何す………!」


こんな事をするのは、アユか健吾くらいだ。

そう思い、文句を言ってやろうと後ろを振り返って……


私は、言葉を詰まらせた。




「そんな怖い顔で睨むなよー(笑)」

「せ、先輩……」


立っていたのはアユでも健吾でもなく、駿河先輩だった。


…私、この人に抱きしめられたんだよね。

先日のことを思い出して、顔が赤くなるのを感じる。




「でもま、怒った顔もなかなか良いと思うよ、俺は」

冗談か本気かわからないけど、先輩はそう言って笑った。


「やっぱ似てるよな、お前と部長。
 さっきの顔、そっくりだった」

「っ」




……………そう、いえば。

先輩は、知ってるのかな?




―――――将兄に、彼女ができたこと。




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