〜桃香side〜




あれから、一週間。


将兄が、まともに口を聞いてくれない日々が続いていた。

帰りが遅くなったことを謝っても、聞いているのかいないのかわからないような返事しか返ってこない。


私には、将兄が怒る理由が、他に何も思いつかなかった。




私が話し掛けてもそんな反応なのだから、将兄から私に話し掛けてくれることがあるはずもなく。

部活の時も、家でご飯を食べている時も…


私たちの間には、気まずい空気が流れていた。




「嫌われちゃったかも……」


ベッドに横たわり、真っ白な天井をぼんやりと見つめながら、そう呟いた。

その声は、反響して一人きりの部屋に響き渡る。


……一週間もこんな調子なんて、今までの私たちの関係からは信じられないことだ。

私が何か将兄の怒るようなことをしたのか、あるいは……




「……疲れちゃったのかな」


部活に勉強に、毎日多忙な日々を送っている将兄。

本来は、私に構っている暇なんてないはずなんだ。


……私なんかと一緒にいるより、勉強したりテニスをしたり、そういう時間のほうが、有意義に決まってる。




「私もそろそろ……」


兄離れしなきゃ、いけないのかも。




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