だが………
これで、良かったのかもしれない。
俺の気持ちが、二人の関係の障害になるくらいなら……
この気持ちを、なかったことにしても良い。
桃香の兄として……
駿河の先輩として……
俺には、二人を応援する義務がある。
二人の幸せを願うことが、俺の役目だ。
駿河なら、きっと桃香を大事にしてくれる。
安心して、桃香を任せられる。
桃香が好きになったのが、駿河で良かった。
「駿河に、感謝しないとな……」
真っ暗な部屋で、俺は小さく呟いた。
駿河は、俺の運命を変えた。
───人とは違う、妹に対する想い。
筋違いの、愛情。
長年抱いてきたその想いと……
決別する、覚悟をくれたんだ。
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