この胸いっぱいの愛を。




「ただいまー」


私はドアを開けるなりそう言って、少しきつい革靴を脱ぎ捨てた。

しかし、そこである異変に気付く。




「……誰もいない?」

いつもならすぐに返ってくるはずの返事が聞こえてこない。

お父さんは仕事でまだ帰ってないとしても、誰かしらはいるはずなのに。


私は不審に思って、とりあえずリビングに向かった。

電気が付いてないし、やっぱり誰もいないのかな?


そう思って二階に上がろうとした、その時。









ガタッ




「ひっ」

な、なに?

今の音………


ももも、もしかして、泥棒?

それともまさか……

幽霊?


私は音を立てないように忍び足で玄関に戻って、庭掃除の為のホウキを手に取った。

息をするのも忘れて、再びリビングに向かう。


一歩、また一歩………




近付くにつれて、鼓動が早くなる。

自分の心臓の音が、耳に届く。


そっとドアの前に立ち、大きく深呼吸をして……




「うりゃあ!!」


私は奇声を上げながら、勢いよくドアを開けた。

それと同時に、電気のスイッチも押す。


幽霊でも何でも、かかってきやがれ!!

と、思ったのだが。




「へ……?」


そこあったのは、全くもって予想外の景色だった。




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