この胸いっぱいの愛を。




「でも……それが将兄と、どう関係があるんですか?」


私が率直に質問すると、先輩は気まずそうな顔をした。

それとほぼ同時に、部屋の鳩時計が動きだす。




「絶対、笑うなよ?」

「?わかりました……」


笑われるような可笑しい理由なのかな?

不思議に思いながらも、私は頷いた。


「絶対だな?」

「絶対、です」


そんなに念を押さなくても良いのに。

先輩の真剣な想いを、私が笑うわけないじゃん。




「知り合った頃の部長は、俺にとって……」


───────ゴクリ。


遠い目をしておもむろに語りだした先輩。

私は話の続きが気になって、思わず唾を飲み込んだ。


ベッドの掛け布団を握り締める手にも、力が籠もる。


この空気はまるで、テニスの試合が始まる直前の緊張感に似ていた。









「あの頃の部長は………




 お父さんみたいな存在だった」


「え?」


先輩の発言に、頭が混乱する。


部長=お父さん?

ってことは、

将兄=お父さん??


私はスーツに身を包んだ将兄を思い浮べる。


案外、いやかなり………




似合う、かも?






じゃなくて!!!




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