この胸いっぱいの愛を。






「………お邪魔します」

「はいよー」


私は言われるがままに、駿河先輩の家に足を踏み入れた。

人の家に入る時は、いつも緊張する。

しかも今日は友達じゃなくて、つい最近初めてまともに会話をした、先輩の家。

そんなわけで、私はこれ以上ないくらい緊張していた。




「おーいお袋〜!!」

靴を脱ぐやいなや、大声で叫ぶ先輩。

するとすぐに、ピンクのエプロンをつけた若い女の人が目の前に現れた。


えっと………お姉さん?


「真、呼んだかしら?」


先輩と同じ髪の色。

笑顔もどことなく似てる。


「あら、もしかして彼女さん?
 うちの息子がお世話になっております♪」


え………

息子……

………………息子!?


ってことは……




「先輩の、お母さん!?」


若い!

若すぎる!!




「バッカ、彼女じゃねーよ!
 こいつは部活のマネージャー!」

駿河先輩は慌てて、“彼女”説を否定した。

心なしか、顔が紅潮してるように思える。


「あら、そうだったの?」

「はい」

私はお母さんの問い掛けに、コクリと頷いた。




.