この胸いっぱいの愛を。




「桃香、帰るぞ」


部活終了後。

ジャージから制服に着替えた将兄が、部室から出てきて私を呼んだ。


「うん、今行く……あ」


危ない危ない………

いつものくせで、そのまま帰るとこだった。


今日は駿河先輩の家に行くんだから、適当に言い訳作って断らなきゃ!




「ごめん、将兄!
 私、ちょっと寄る所が……」

「買い物か何かか?
 もう暗いし、俺も付き合うぞ」


…………こうなると思った。

将兄の場合好意で言ってるから、断りづらいんだよね……。


嘘をつくのは気が引けるけど、今日ばっかりは仕方ない!!


「いや、買い物じゃないんだけど…
 これから友達と会う約束してて」

「こんな時間にか?
 待ち合わせ場所まで一緒にいってやろう」


将兄……心配しすぎだよ!!

いつもならありがたいけど、今日は勘弁してほしい。


「大丈夫だって!」

「しかし………」

「用が済んだらすぐ帰るから!
 何かあったら連絡するし!」


私は必死で言い訳を並べた。

その甲斐あってか……




「……わかった」

険しい表情ではあったけど、なんとか説得することに成功!




.