昨日は色々考えてて眠れなかった。
駿河先輩の好きな人が将兄だなんて……
やっぱり、信じられないよ。
だって、駿河先輩は先輩からも後輩からも凄く人気があって……
周りには可愛い子だってたくさんいるはずなのに。
それに対して将兄は厳しくて皆から恐がられてるし、めちゃめちゃ無愛想だし……
私だって兄妹じゃなかったら、皆みたいに恐がってたかもしれない。
……駿河先輩は、将兄のどこを好きになったんだろう。
「……会いに、行ってみようかな」
誰もいない倉庫で、私はポツリと呟いた。
もちろん、将兄のことも気になるけど……
単純に、あの笑顔が見たかった。
あんなことがあった後だし、先輩がどうしてるか、知りたかったんだ。
“思い立ったら即行動だ!”
私はいつか将兄に言われた教訓を思い出した。
「部活終わったら、行ってみよう!」
私はそう決意して、ボールカゴと共に皆が待つコートへと向かった。
空には綺麗なオレンジ色の夕焼けが、どこまでも広がっていた。
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