この胸いっぱいの愛を。






「私……凄く後悔してるんです。
 昨日の……神田先輩のこと」

「!!」


将兄の……ということは、間違いなくあの事件のこと。

ひょっとして、佐野先輩が黒幕……!?


「あのラブレターは、私が書いたんです」

「ラブ、レター?」

何のことだろう………。


私が首を傾げると、佐野先輩は事の発端から説明してくれた。




駿河先輩に好意を抱いていることが、隣のクラスの不良グループに知られてしまったこと。


その五人は、将兄の人を見下すような態度に日頃からムカついていたということ。


そしてその五人はまた、佐野先輩が神田先輩に嫉妬していることにも気付いていたということ。




佐野先輩は彼らの作戦を聞いて、さすがにやり過ぎだと思ったらしい。

でも…………


協力しなければ駿河先輩に気持ちをバラすと言われて、協力せざるを得なかったんだとか。


要するに、弱みを握られてたってワケ。




「神田先輩を体育倉庫に呼び出すためのラブレターは、正真正銘私が書いたものです。
 あの時、私があれを書いてなければ、あんなことには……」


佐野先輩の表情には、後悔の念が滲んでいた。




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