この胸いっぱいの愛を。






……………えっ、と。


それって……………


どういうことなんでしょうか?




「私、最初クラスに話す人がいなくて。
 いっつも、一人でいたんです。」


佐野先輩は混乱状態の私にお構いなしに、ゆっくりと話し始めた。


「それでね、初めて話し掛けてくれたのが…」

「駿河先輩、だったんですね?」

私がそう言うと、佐野先輩は恥ずかしそうに頷いた。

その表情は、いかにも“恋してます”って感じで……


恋する乙女って、こういう人のことを言うんだなー、なんて思った。




「ほら、彼って凄い気さくじゃないですか?」


………確かに。

あまりの気さくさに、最初は私もかなり戸惑ったしね。


「だから、すぐに仲良くなったんです」

佐野先輩は嬉しそうに笑った。

その笑顔につられて、私も微笑む。


「最初の頃は、いろんなことを話しました。
 小学校のこととか、趣味とか……」


なるほど。


──────────ん?


“最初の頃は”ってことは……

今は、そうじゃないってこと?




そう思い首を傾げると、佐野先輩の表情が徐々に曇っていく。




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