「マジでぇ!?超きもーい!」
「バレたら絶対軽蔑されるよねー」
─────キモチワルイ?
─────ケイベツ、サレル?
「そんな、こと……」
そんなこと、ずっと前からわかっていたことだ。
だから、気持ちを押し殺して今日まで生きてきた。
───────それでも。
人にそう言われるのは、とても辛くて。
“キモチワルイ”と言われて何も言い返せない自分の立場が悔しくて。
俺が、“兄”じゃなければ……
桃香が、“妹”じゃなければ……
いつまでも、隣にいられたかもしれないのに。
────────そう思った、刹那。
「泣くなよ………」
「え?」
声が聞こえたと同時に誰かに覆い被さられて、視界が一瞬で暗くなった。
シュルリ、と音がして、手と足にきつく結び付けられていた縄が取られる。
立ち上がろうとしたが、全身があまりに痛くて身動きすらままならない状態。
「お前……やっぱムカつく」
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