「俺は、どうなっても、構わない、から……
桃香には、何もしないでやってくれ……」
擦れた声しか出なかったが、なんとか言い切ることができた。
声を振り絞って伝えたのは、紛れもなく俺の本音。
頭をよぎるのは、遠い日に交わした約束。
「バッカみてぇ。
そんな必死になっちゃって。
アンタってさぁ……
妹チャンのこと、好きなわけ?」
その言葉に、俺は思わず目を見開いた。
相手は、本気でそう思ってはいない。
冗談で言っているだけだ。
そう、頭ではわかっていても……
俺は、その言葉を否定することはできなかった。
人間の風上にも置けないような奴に言われた言葉だとしても……
ずっと胸に秘めてきた自分の気持ちに、嘘はつけなかったから。
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