この胸いっぱいの愛を。




「うっわー悲惨!!
 妹……桃香チャン、だっけ?
 ショックで不登校になっちゃったりして!」

「そ……んな…………」


それだけは……

それだけは止めてくれ!!




「縁、切られちゃうかもね?
 妹チャンとっ!」

そう言いながら、一人の男が俺のネクタイを乱暴に引っ張る。

あまりの息苦しさに、一瞬頭が真っ白になった。


「そこまでやったら、さすがに懲りてデカイ面しなくなるだろ♪」

楽しそうに言って、俺を蹴り飛ばす男。

舞い上がった砂埃が目に入って、涙が溢れる。

その涙は目尻を伝って流れ、地面を濡らした。


「おいおい、また泣いてるよ!
 そんなに妹チャンが大事なわけ?」

呆れ顔でそう言われ、俺は何も言い返すことができなかった。


「言いたいことあんなら、はっきり言えば?」




「……………から」




.