この胸いっぱいの愛を。




周りの気温が、一気に氷点下まで下がってしまったような感覚。

突然飛び出した“妹”という一文字に、俺は動揺を隠せなかった。




「何故、桃香のことを……」

俺が震えた声で言うと、男はニヤリと不気味な笑顔を浮かべた。


「へーえ、桃香チャンって言うんだ?」

「!!」


っ、こいつら…………

まだ何か、企んでいるのか!?


「俺、見たことあるぜ♪
 めっちゃ可愛いんだよな〜」

壁に寄り掛かってしゃがんでいた男が突然立ち上がって、そう付け加える。




“嫌な予感”。


そんな言葉が、頭の中で渦巻いていた。

そして、その予感は現実のものとなる。









「そんじゃあさ、誰が桃香ちゃんをオトせるか、賭けしない?」




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