───────だが。
事実を隠すことはできても、身体中にできたこの傷を隠すことはできない。
桃香はともかく、兄さんには本当のことがばれてしまうかもしれんな。
そんなことを考えていると、
「なーんか、飽きちゃった!」
残酷なくらい能天気な声が、狭い体育倉庫に反響した。
その言葉を合図に、五人が一斉に俺から離れていく。
────やっと、解放されるのか。
そう思ったのも、束の間。
リーダー格の男の口から飛び出した言葉に、俺は一瞬目の前が真っ暗になった。
「なぁ、お前って確か、一年に妹がいるんだよな?」
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