この胸いっぱいの愛を。




 〜将一郎side〜




ドカッ


バキッ


ボコッ




「……………くっ」


歯をくいしばり、必死で耐え続ける。

ここに連れてこられて、どれくらいの時間が経ったのだろう?

五分しか経っていないかもしれないし、何時間も経っているかもしれない。


それくらい、俺の意識は朦朧としていた。




耳に届くのは自分を痛め付ける音と、下品な笑い声だけ。

身体中を蹴られ、殴られ、痛みなんてもはや感じなくなっていた。


誰かが助けにくるかもしれないというわずかな希望も、とうになくなっている。

今はただ、早く終わってくれることを祈るばかりだ。






──────桃香や兄さんは、俺の帰りが遅いのを心配しているだろうか。


いや、桃香には用事だと伝えてあるし、兄さんはまだ帰っていないだろう。

俺がここでこんな目に遭っているなんて、思いもしないはず。




…………だが、それで良いんだ。

その方が良いに決まってる。


あの二人を巻き込むわけにはいかない。

俺がこいつらに気の済むまでやらせておけば、良い話なのだから。




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