「先輩、一体何が「お前は引っ込んでろ!」
「!!」
先輩の放った言葉が、胸に突き刺さる。
こんなに冷たい目をした先輩を見るのは、初めてのことで。
私は、驚きのあまり一瞬言葉を失った。
だけど………………
「何、それ……」
その驚きと悲しみは、徐々に怒りへと姿を変える。
お前は引っ込んでろ、って……
私には関係ないっていうの?
そんなわけないじゃん。
だって──────………
将兄は、私のお兄ちゃんなんだよ?
「ふざけたこと言わないで!
一人で勝手に解決しようとしないでよ!
私にだって、知る権利くらいあるもん!」
将兄はいつも、私を守ってくれた。
だから今度は、私が将兄を守るんだ。
脳裏に焼き付いて離れない、将兄が声を押し殺して泣いていた姿。
私よりずっと大きい将兄が、凄く小さく見えたこと。
次に何かあったら、将兄の笑顔が失われてしまうかもしれない。
そんなの、耐えられないよ……!
「お願い、駿河先輩!!
私、将兄を助けたいの!」
自分よりも背の高い駿河先輩の肩を、私は激しく揺さ振った。
…………でも、
「駄目だ」
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