「っ、桃香!?!?」


明らかに焦りを含んだ声が
遠くから聞こえた。

続いてドサッと何かが落ちる音がして、
足音が凄い勢いで迫ってくる。


「桃香!!!!」


「ゔっ……将、兄?」


将兄が来てくれた。

すぐさま私の隣にしゃがみこんで、

「大丈夫か!?」

と尋ねる。

声からもわかるように、
相当焦っているみたいだ。

私は何だか申し訳ない気持ちになって、
将兄の顔を直視できなかった。


「ごめんなさい……」

俯いたままポツリと呟く。

でも、将兄は黙ったままだ。

やっぱり、怒ってるのかな?


不安になって顔を上げようとした時、私の頭に温かいものが優しく触れた。




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