このパソコンが人の手に渡ると言うことは、他の人間から彼女へは伝わっている。

彼女もネットワークを介して配属先へと必要なデータは送っているはずだ。

だから、本来なら何も気にせずまっさらにすればいいのだが、神経質な僕は、データが完全に不要なものであるのかチェックしたかった。

決して、彼女のパソコンを覗き見ようという邪な気持ちがあったわけではない。

そういった好奇心よりも、僕に対する罵詈雑言が書き連ねられ、それを僕が開け、襲いかかるのを待っているんじゃないだろうかという恐怖の方が大きかった。