「――壮ちゃんっっ!」 「―――っ!!!!」 玄関から続く廊下と俺がいる部屋の境界線でもあるドア。 そのドアが開いた瞬間、侵入者は俺の名前を呼び、いきなり抱きついてきた。 「えっ? ちょっ……! はあっ!?」 俺の頭のなかは、この状況を理解できていない。 だって。 いまだ俺に抱きついている、この侵入者。 さっきまで電話で別れ話をしていた、ロンドンにいるはずの彼女だったんだから。