【大丈夫だよ】 それが彼女の口癖だったし、俺もいつしかそう言うようになっていた。 でも本当は、誰かに縋ってしまうほどに、そして心が揺れてしまうくらいに、寂しい思いを抱えていたんだ。 だけど……。 彼女のために、大学を辞めて、ロンドンに留学することなんてできない。 それが、現実だ。 「考え直してくれないか?」 今ならまだ間に合う。 俺がもう一押しすれば、きっと考え直してくれるはず。