アルベルトに同情するわけではない。

 だが、彼にも叶えたい願いがあったはずだ。

 それが例え、他人には理解しがたい歪んだ欲望だったとしても。

「巻き込まれたのなら、尚更報われない…」

 津也の当惑する様子が思い起こされ、シオンは思わず拳を握っていた。

 自分はいい。

 道を示され、納得して戦いに臨んだのだから。

 そうでない者にとっては、降ってわいた災厄でしかない。

 ふと、イーフリートのカードを取り出す。

 全てはここから始まった。

 天から降ってきたこのカード。

 これがなければ、全ての戦士は傷つくことも業を背負うこともなかったはずだ。

 それ以上に、戦いが人を引き寄せることも事実だ。

 津也と出会わなければ戦う意味を考えることはなかった。