あたしはそれを見ながら笑い、子供の頃から何度も会ったことのあるミカのお母さんを思い出した。



背が低くて小太りの、いかにも日本のお母ちゃん的な人。


優しそうな印象が強く残っている。


口うるさいところが嫌だ、とミカはボヤくけど。



「いいじゃん。親ってそんなもんでしょ」


苦笑いしながらそうフォローすると、ミカは


「まあね」


と少し嬉しそうに言って、あたしの服に腕を通した。



グチりつつも、結局は仲良し親子ってわけ。


ま、別にうちの親だって捨てたもんじゃないんだけど。




着替えが終わると、鏡台の前にふたりで座り、大学に行く時とは明らかに違う濃いメイクをほどこした。


髪はいつも通り、ミカに巻いてもらった。



「うん、いい感じじゃない?」



お互い向かい合ってオッケーを出し、あたしたちはタクシーに乗り込んで繁華街に向かった。