「待って、陸!」 ゴールまであと少し。 悲鳴をあげはじめた足首を引きずりながら歩いていると、後ろから姉貴の声がして。 「私も、走る」 そう言って、俺の肩を支えながら一緒に歩き始めた。 今は並んだ、俺と姉貴の身長。 近くに感じる姉貴の吐息。 姉貴の肌の温度。 ───ドキッ。 何かが弾ける音。 それは、痛みと自分との戦いの中で芽生えた、初めての感情だった。