朔夜さんの顔が近づいてくる。 私はギュッと目を瞑った。 「………」 ……? 目を開ける寸前、耳の後ろを撫でられた。 ビクッとして目を開けると、朔夜さんは背を向けていた。 朔夜さんの残り香が、私を包む。 朔夜さんは無言のまま、部屋を出て行った。 去り際に、含みのある笑みを残して。