私は奈津紀の言葉を、何度も頭の中で反芻する。 断るべきなの…? 食事が終わり、朔夜さんはテーブルの上を片付けている。 「朔夜さん… さっきのお話なんだけど…」 朔夜さんは手を止め、私の顔を見た。 「どうやら、私のききたい返事では、なさそうですね」 言葉の出ない私に、朔夜さんは言った。 「綾香お嬢様のご友人も、遠ざけておくべきでしたね」 え? 「お屋敷の者だけしか排除しなかった、私のミスです」 私は理解した。 以前言われた『使用人に用があるときは、執事を通して下さい』の意味を。