私は奈津紀に曖昧に返事をして、電話を切った。 ちょうどその時、ノックの音がした。 入ってきたのは、夕食をワゴンにのせた朔夜さんだ。 カラカラと軽快な音を鳴らし、テーブル脇にワゴンを寄せる。 準備が整い、私を呼んだ。 「ありがと…」 私は黙々と食事をする。 朔夜さんも何も言わず、そばに控えている。