私は父の書斎へ向かった。 今さっきまで私の部屋にいたから、きっとまだいるはず。 コンコン ノックをすると、誰何があった。 私が名乗ると、入室を促された。 私はそっと書斎に入り、椅子に座って書類に目を通す父に向かう。 「なんだ?」 書類から目を離して、父は私の顔を見た。 「お忙しいのにごめんなさい」 私がそう言うと、父は私に椅子を勧め、ゆっくりと手を組んだ。