「朔夜……」 窓から入ってきた朔夜は、ゆっくりと私に近付く。 スッと両手で顔を包まれ、朔夜のヒヤリとした体温が、私の頬を伝った。 「……どうした?」 朔夜は私の顔を覗き込み、そっと微笑んだ。 「えっ……?」 小さくききかえした私に、 「いきなり会いたいと言ったわりに、元気がない」 と言って、私の頭を優しく撫でる。 私は少し俯いて、朔夜に体を預けた。