ドアを開けると、岡谷さんが立っていた。 「なぁに?」 外出する予定はないけど、と言うと、岡谷さんは首を振った。 「お食事を召し上がっていないようでしたので」 食堂へ行くにしても岡谷さんは付き添うから、 私の屋敷での行動は常に筒抜けなんだっけ。 「持って来てもらうから。 お部屋に戻って」 そう言ってドアを閉めようとした私を、岡谷さんは止めた。 「お部屋に入っても宜しいですか?」 そう訊いておきながら、有無を言わせずに部屋へ足を踏み入れた。