ある休日の朝。 私、綾香はとても緊張していた。 目の前には、お父様とお母様が、珍しく揃っていた。 そして私に、 「新しい執事を雇おうか?」 と訊き、今は私の返事を待っているところだ。 朔夜が来る前は散々 『執事、執事』 と騒いでいたから、無理もない。 あの頃は、寂しさを穴埋めしてくれる人が欲しかった。 今は朔夜がいてくれるから、執事なんて必要ないわけで。 それをなんと説明しようか悩んでいた。