いつものように使用人に見送られ、玄関を出る。 朔夜さんは私のカバンを持ち、車まで送ってくれた。 「いってらっしゃいませ、綾香お嬢様」 「いってきます」 私は、いつもと同じ運転手さんの車で学校に向かった。 朔夜さんには、まだ車の免許が無かったのである。 しっかりしてよね、お父様。 朔夜さんに、一緒に学校へ行こうと誘ったが、断られた。 それもそうか。 一緒に登校したら、噂になるし、執事してるなんて、きっと友達に知られたくないよね。 そう思ったから、無理強いはしなかった。