歩いていると、奈津紀に会った。 どうやらいつの間にか、騎馬戦は終わったらしい。 「棄権ってきいて、びっくりしたよ!」 でも、と続ける。 「センパイのマイクパフォーマンスの方がびっくりしたけど」 ニヤニヤしている奈津紀の言葉に、朔夜は何も言い返さない。 心ここに在らず、だ。 奈津紀は私に、どうしたの?と顔で訊いてくるが、私にもわからない。 ただ首を振るしかなかった。